守りたい、不器用な人。~貴方と始める最後の恋~
「す、すみ、すみません!!」


ガバッという効果音がするくらい勢いよく起き上がる山瀬さん。
そしてそのまま私の両肩を掴んだ。


「怪我はないですか!?」

「……はい大丈夫ですからその……」


凄く近くにある顔に少なからず恥ずかしさが芽生える。

早く離して欲しくて声を掛けるがどうやら聞こえてないみたいだ。

真っ赤な顔をしながら私の顔を覗き込んでくる。


「……かわ……」

「……かわ?」

「かわい……じゃなくてカワウソ!」

「はい?」


突然叫びだす山瀬さんに思わず苦笑いを浮かべてしまった。


「おい海咲! いつまで遊んでるんだ! お客様の着替え! それからお前も着替えて来い!」


遊んでる訳ではないが、文句を言う訳にもいかず返事をして立ち上がった。


「こちらへどうぞ」

「へ?」

「どうぞ」


説明が面倒くさくて、ニコリと笑ってごまかす。
山瀬さんは一瞬だけボーッとしていたが私の後へと続く。
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