ブラック・ストロベリー



「ねーちゃんはまだ全然飲めるだろ、コンビニいこ—ぜ」

「おかーさん寝かせてからね、ほら調子乗って飲みまくるからだよお母さん、布団いこ?」

「いやだわ、お母さんまだ飲める!」


調子に乗って缶を3つもあけて、あんまり強くないのにどんどん楽しくなっちゃうお母さんも何年たっても変わらない。



「…陸、右腕」

「ハイハイ」


2時間ほど、カレーを食べてからたくさんの缶を開けてうるさいというほどのお母さんの日頃のたまった自慢話からお父さんの不満までを聞いて飲んで。

当の本人は、顔を赤くして机に身を投げ出している。



「おかーさん、私も陸もあと二日いるんだからまた明日でもいいでしょ」

「えーお母さんアイス食べたい」

「じゃあ明日朝食べよ、買ってくるからさ」


「えー」


グダグダ文句が止まらない母親を子供二人が抱えて寝室まで運ぶ。

久しぶりの自分の娘息子に、おまけにお酒まで飲めちゃって、お母さんのテンションはきっと上限に達してる。


もう私たちでお母さんを運べちゃうんだよ。
立派に育ったでしょう?


「おやすみ、おかーさん」

「おやすみー」



明日アイスを食べるという約束で機嫌を取り戻し、寝室につくなり息を立てて寝始めたので陸と顔を見合わせてほっと息をついた。



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