ブラック・ストロベリー




「ありがとうほんと、急に駆け込んで」

「いーよ全然、むしろもっといてくれてもよかったんだけどさ」



実家に顔を出すのも大事だよね、なんて涼子が言う。

私たちの地元はここから1時間ちょっとで行ける場所だけど、用事がない限りめったに帰らない。


きづけばもう3か月帰ってない、そろそろお母さんもさみしくしているんだろう。




「たまには家族とのんびり休日過ごすわ」

「そうね、またいつでも遊びに来て」


じゃーまたね、と涼子の住むアパートを出て駅に向かう。




涼子とは中学来の親友で、今でも暇があえばすぐ会う仲だ。

久しぶりに会っても久々な感じをまったくさせないし、なんでも包み隠さず本音を言える相手は、涼子くらいだと思う。


お互いサバサバしてて、性格が似すぎて昔はしょっちゅうケンカしていたけれど、大人になった今はよき理解者である。




『何時頃になる?今日はカレー』


駅に向かう道を歩いてると、お母さんからメッセージとスタンプが送られてきた。

可愛らしいアルパカがエプロンをしておたまを持っているスタンプを見る限り、母親もまだまだ若いおばちゃんだと思う。


『いま涼子んち出た』


素早く返事をして、負けじとかわいいくまのスタンプを送ってトークを閉じた。

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