ブラック・ストロベリー



未読件数は、過去最大だ。

経った二日でもうすぐ200件に到達しそうで、それほどアイツのメンバーたちはめげない証拠だ。



『ミサキちゃん、アオイの着拒を外してあげてください』

『アオイともう一回ちゃんと話してあげて』

『アオイは全部誤解だって言ってるよ』


ブラストのメンバーはアイツとも私とも高校からの付き合いなので、もちろんデビューする前から私の存在を知っていた。


それなりに仲も良かったし、普段も連絡を取ったりしていた。

けれど、今回に限っては誰にも返事していない。

こころが少し痛むけど、これがわたしなりの答えだっだ。




誤解だなんて分かってる。


ただそれでも、悔しかった。


これが芸能人と一般人の違いだって見せつけられた気がして、悔しくて、悲しかった。




『アオイはもう普通の人じゃないってことを忘れないでください』


メジャーデビューが決まってすぐ、アイツのマネージャーにあったときに言われた言葉を、ずっと思い返していた。




『覚悟はしていてくださいね』



覚悟だって、しているつもりだった。

まさか本当に、報道されるなんて、思ってもなかったくせに。


しかも相手は、私じゃない。

私よりも綺麗でかわいくて、素敵な夢を持った人だから。



ずっと思ってただけで行動にしなかったけど、もうそれもやめようとおもった。



わたしには、アイツに釣り合う力なんてない。



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