ブラック・ストロベリー
アオイの歌詞は、いつもストレートだ。
本人は澄ましてるのに聴いてるこっちはいつも恥ずかしくて、でも嬉しくて、たまに視線を合わせてくるから、もう慣れてしまっても、苦しいくらいに胸が締め付けられる。
初めて会ったあの日も、ギターに触れていた。
そこで聴いた、真っ直ぐなうたが、たぶん今でもわたしを離してくれないんだ。
ふたりで初めて一緒に帰った日、意味わかんないくらいお互いに悪態をついては、その不機嫌な顔をみて可笑しそうに笑いあってた。
制服を着ないであった初めての土曜日、きみの部屋でギターを教えてくれたね。
わたしはちっとも上達しなくて、それを見てバカにされたの忘れてない。
あるき方も、ギターの背負い方も、制服の気崩し方も、髪型も、全部カッコつけてるっていつもバカにしてた。
でも、真剣にうたって、ただのカッコつけじゃないんだって見せられて、はじめてそこでその感情の名前を知りたいと思った。
ファーストキスを奪ったのだって、あまりにも突然で、そうやって言葉にしないで伝えようとするからわたしは逃げ出したね。
意地でも逃がさなかったきみの隣にようやく並べるようになったんだ。
両想いって幸せだけじゃなかった。
くだらない喧嘩をしては、口をきかなかったし、絶対許してやらないと思ったし、相変わらず平気な顔して過ごしてるから余計ムカついて、はじめて怒った。
嫉妬深いせいで、すぐに不機嫌になってはわたしに八つ当たりして、結局自分一人で解決しようとして、爆発してわたしに素直になってくれた、その瞬間たまらなく愛しいと思ったの。
一緒に暮らそうって言ってくれたね、
あのときこのまま、わたしはずっと一緒にいるんだって、そう思ったんだよ。