ブラック・ストロベリー
「、ってえな」
痛みでひどい顔をしたその顔を見てざまあみろ、と心の中でつぶやいた。
ふ、とこぼれた笑みに、痛そうにさする口元が口角をあげた。
「あんなあ、暴力反対」
血出たんだけど、なんて、そんなの見ればわかるし、
その痛みくらい、受け入れるくせに。
「バカじゃん、」
思わず飛び出た口癖に、は、と口元を手で覆う。
それを見ては、意地悪く笑った。
「キスしないと喋れない口か、」
ふざけないで、笑うそこに睨みを利かせても、そんなの通用しなかった。
口元が緩んだのは、紛れもないそのせいだ、
もう言い逃れはできなかった。
「無理矢理、呼んどいて何様のつもり」
もう二度と会いたくなかった、そう言えば、可笑しそうに笑ってわたしの顎を持ち上げて視線を絡める。
「よく言うよ、」
泣いてたくせに、
わたしの腫れた瞼を笑うように、わたしの持つチケット、指定番号を指さした。