ブラック・ストロベリー
見えるって言ったよな?
アオイが指定したそこは、ここら辺が一番目がいくんだと豪語していた場所。
「…そんな遠くまで見えるわけないでしょ」
「て、思うじゃん?」
でも俺、始まった瞬間みつけたんだよね、
わたしからチケットを取り上げて、真似するようにひらひらと目の前で遊ばせた。
意味わかる?
そうやって、また。
言葉から逃れようとするから首を横に振った。
「わかんない、」
ずっと睨んでいると、目が疲れて、だんだん力が入らなくなる。
まばたきができなくて、乾いてくそこにまだ残っている涙が滲みだした。
それがばれないように俯いた。
目を閉じて、それをもっかいひっこめる。
「言葉にしないやつのことなんて、なんにもわかんないよ」
そう言えば、
ふは、笑うから、
思わずまたそこに視線をあげた。