ブラック・ストロベリー
「俺はたぶん、死ぬまで音楽をやる」
うん、知ってるよ。
アオイの一番にあるものは音楽で、たぶんその中でアオイはずっと生きていく。
アオイから音楽は奪えない。
「でもその横で、死ぬまで笑ってくれるのなんて、お前しかいねえよ」
となりにいただけだった。
ただその姿を見ているだけだった。
わたしは、支えになれているのかな、
アオイの邪魔に、なっていないかな。
これからもずっと、横にいるのは私でいいのかなって。
聞けなかった、怖かった。
「お前がこれからいないとか、考えらんねえの、」
考えたくもねえよ、そう言って私の肩におでこを乗せてきたアオイは、震えてた。
その頭にそっと触れれば、泣きそうに、唇噛み締めて、わたしをまっすぐにみるんだ。
「おかしくなるくらい好きだよ、言葉にすんの難しいくらい好きなんだよ、意味わかんねえくらい頭ん中お前ばっかだし、お前がいない家になんか帰りたくないし、いまさら離れるなんて、考えたくもねえ」
久しぶりにきいた歌じゃないアオイの言葉は、まっすぐに私の中に落ちてくる。
ずっと、これが欲しかったの。
弱弱しい背中に手を回して、
わたしはこどもみたいに泣いた。