ブラック・ストロベリー






「不満あるなら全部言えよ、ひとりで溜め込まねえで、俺にも分けろよ」



なんのために2人でいるんだよ、


悲しいも楽しいも、悔しいも愛しいも、ぜんぶはんぶんこ。

幸せはふたりでしか作れないって、


そうえばそんな曲も、あったよね。


言葉ひとつがまっすぐに、アオイの音楽を思い出させる。


やっぱりアオイはアオイで、結局どこにいても全部の思い出が、アオイの隣にある。




「私が届かないところで、キラキラ輝いて、可愛いアイドルとか、モデルとか、女優にアオイなら絶対もてるし、」



ずっと同じ世界にいたのに、

気づいたらどんどん遠ざかってアオイはテレビの住人になった。



同じ場所にいるのは家だけで、

その空間が、ずっと続けばいいって思ってた。



世界は、ふたりだけでよかったのに。




「わたしを置いて、離れてくのが、嫌だった」



アオイは好きで歌って、好きであっちの世界に住み込んだ。

それがアオイの人生で、わたしはそこに口だせない。


それでも、置いてかれるのが悔しかった。



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