ブラック・ストロベリー
「嫉妬?」
「、そうだよ」
だいの大人が、嫉妬するなんて、バカにするんでしょ、
確実に追い越せない美人に嫉妬しても、無駄だって笑うでしょ、
「じゃあ、俺も言わせてもらうけど」
背中に回された腕が解かれて、背後のかべに背中をつかされる。
離れた左手を握ってくるから、しょうがないか握り返した。
「ドライバーといっつも2人きりで、危機感なしに毎回コーヒー貰ったり?告白もされたんだってな」
「なんで知ってんのよ、」
驚いてそう言えば、舌打ちが返ってくる。
本人から聞いたんだよ、なんて少し悔しそうに唇かんだアオイを、じっと見つめた。
「手の届かないとかそーゆー話じゃなくて、俺のいないところで他の奴とふたりきりになったり告られたりさ、」
マジで、ムカつくんだけど、
少し頬を染めて、ムカつく、と繰り返したアオイをみて、なんか可笑しくて、
幸せだな、と思った。
ふは、アオイが笑うその笑い方そっくりに笑えば、ふてくされた仏頂面がまた舌打ちを繰り返した。
「、バカにすんじゃねえよ」
可愛いなあ、こんなアオイみるのいつぶりだろう。
ずっと、本音隠してたんだ。
ほんとうはどこの誰よりも嫉妬深くて、
でもそれが悔しいから、全部言ってくれずに勝手に怒って。
結局全部、素直になるんだよね。
そういうところも、好きだった。