ブラック・ストロベリー
同じだったんだ。
何も聞かないから、何も聞かれないから、
何もないふりして、強がって、
少しも素直になんかならなくて。
「わたしもね、」
アオイが素直になってくれるなら、
わたしも恥ずかしくないよ、
「悔しいけど、アオイのことが好き、」
好き、でも、愛してる、でも、
そんな簡単な言葉じゃあらわせないよ。
「だから、おいてかないで」
見上げれば、久しぶりに頬を染めて今日は素直だから幸せそうに笑ってるアオイがいて、
それだけでわたしはこころが幸せで溺れそうになった。
繋いだ手は、たぶんもうきっと離せない。
たぶんアオイも離してくれない。
そういえばさ、
「アオイのうたファンの人たちが噂してたよ」
「なんて?」
「あれは失恋ソングなのか告白なのかって」
あと、曲のタイトルも。
みんながそれぞれ色んな答えを探していたけれど、それはたぶん、どれも不正解だ。
アオイとわたしにしか、わからないよ。
「ファンもまだまだだな、」
嬉しそうにアオイが笑う。
「だよね、」
わたしがそう返せば、いとおしそうに見つめてくるから、恥ずかしいから見ないでって言って、それにまたおかしそうに笑った。
やっぱり、アオイの隣しか、考えられない。