ブラック・ストロベリー
たくさん話をして、
久しぶりにたくさん笑った。
学生の頃みたいに、たくさんドキドキして、悔しいけど、アオイにはやっぱり勝てないと思った。
アオイがわたしに手を伸ばしてくれたこと、
それだけでわたし、もう大丈夫だよ。
「そろそろ帰らないと」
「ドライバーのとこ?」
素直に不機嫌になるそれを押しのけて、
無理やり連れてこられたその道を、わたしがその手を引っ張って歩き出した。
「嫉妬ならいくらでも聞いてあげる」
やきもち焼きだもんね?
なんて言ったら、バカにすんなよってデコピンしてきて、
バンドマンのデコピンほど痛いものってないと思うから、本気でもう一度脛を蹴ってやった。
「いつ帰んの?」
「明日の夜かな」
「どこに?」
「… 家に?」
「…ふーん、」
「蒼伊より、先に帰ってほしい?」
家で迎えてほしいんだもんね、
なんて覚えてる歌詞をちょっと口にしてみたら、照れ隠しに不機嫌になって、うるせーな、なんて言うからやっぱりアオイはかわいいね。