ブラック・ストロベリー
「わたしのこと、嫌いだもんね?」
「そっちこそ」
しつこいくらいもう一度繋いだ手に力込めてくるから、
しょうがないなあ、握り返してあげる、
頬緩んでるのは、見て見ぬふりしてあげるよ。
「なー、あしたはオムライスな」
「えー、しょうがないからいいよ」
本当に、オムライスが好きだね。
いいことあるたび、食べたくなるって、
おいしそうに食べるその姿だって、いとおしくて仕方ないんだ。
「あー、腹減った」
「焼肉弁当食べたのに?」
いったい何人前食べたのよ、
恋愛より、三度の飯がいいんだもんね。
「そうえばさ」
後ろを歩く足が止まって、わたしはそっちに振り返る。
今度は何?
そう言おうとしたら、アオイはにやって笑ってポケットにてをつっこんだ。