ブラック・ストロベリー
たとえばさ、デビューの時もそう。
昔から、突拍子もないこと言うし、
意味わかんないけど、
でもそれが蒼伊なんだ。
ずっと隣で見てきたんだ。
変なやつだって、第一印象も、
ムカつく男だと思った、初めて交わした会話も、
かっこつけてんじゃないよ、気づいたらほかの子に嫉妬していたことも、
ぜんぶ、蒼伊だ。
これからも変わらないし、
たぶんその横には、幸せそうに笑う私がいるんでしょう?
だからさ、
まあ、今日だけは、
何言っても許してあげるよ、
ポケットに突っ込まれた手のひらが、わたしのほうに差し出されて、
それを見たわたしはこの後、またひどい顔して泣くんだろう。
そして、バカにしたように笑うきみを、
大好きだよって、抱きしめてあげる。