ブラック・ストロベリー
意地っ張り
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卵すきじゃないくせに、オムライスはすき。
[ 今日 ]
[ オムライス ]
立て続けに2件入った新着メッセージ。
また?なんて思いながらも、あの人がオムライスを食べたいっていうときは大抵いいことがあったときだから、そうだね、今日は炒飯じゃなくてオムライスにしようかな。
午後五時、バイト終わりで私服に着替えたあとケータイの電源を入れれば1番上に貼り付けてる人からの新着メッセージが1番に目に入る。
もちろん、誰よりも早く返さないと!なんて可愛らしい考えもなく気づいたら1番はじめに返してしまうので、無意識に可愛さを醸してるってことで絶対言わないけど可愛いと思ってくれると嬉しい。
新曲でもかけたのだろうか。
いつも1番はじめに聞かせてくれる彼の曲は、大方わたしのことばっかりだと自負している。
感情表現も、言葉も苦手なくせに、1番得意な音楽にのせてくるのは卑怯だと思う。
「 彼氏? 」
かたん、とバックルームに入ってきたのは2つうえの大学の先輩でありバイトの先輩だった。
「 あー、まあ? 」
「 一緒に住んでるのにケータイみてニヤニヤすんなって、さすがの俺でもビビるよ 」
「ニヤニヤなんてしてません。」
大学生になって1年と少し。
自分が1番下の学年じゃなくなっただけあって、それなりに大学生活も充実して、バイトでお金も稼いで、アイツとは半年前から二人暮ししている。
「 彼氏がバンドマンって、モテるでしょ?大変だな 」
構内でもちろん有名なあいつの彼女、それだけで私まで有名人となっているわけで、もちろん先輩も私とあいつが付き合っているのも知っている。
「 まあ、でもわかってるつもりなんで 」
こういうとき、本人には死んでも言えないことを、平気でほかの人に言えるのはなんでだろうったいつでも思う。
言いたい人に言えないくせに、関係ない人にはこれでもかってくらい素直に自分の気持ちを表現することができる。
「 おれも好きだよブラスト、いい詩かくよなアオイくんって 」
帰る支度をしながら、わたしの話と、もちろん先輩の彼女さんとの惚気もしっかりと聞いて、ふたりでコンビニを出る。