ブラック・ストロベリー
ヤキモチ焼きなのは、正直いって可愛いと思う。普通だったらの話だけど。
こいつに関しては厄介なのだ。素直にヤキモチだと認めればいいのにちっとも認めずに機嫌が悪くなる。
普通のカップルなら、帰り道遭遇したら普通一緒にスーパーよるでしょ?なんで置いて帰るの。
なんてあんなやつと付き合ってる時点で、普通の生活が送れないことなんて分かってるから、何も気にしないふりしてわたしはスーパーによって、ミックスベジタブルを買って、しょうがないからあいつの好きなパピコ買って、急ぎ足で家に帰るのだ。
「 ただいま 」
アオイにもらったギターのキーホルダーと、お揃いで買ってあげた苺が付いたキーケース。
おそろいなんて可愛いこと一緒に住むまではしたことなくて、はじめておそろいになったのがこの扉の鍵なんて、意外とメルヘンチックで個人的には少しいいなって思ってる。
いちごのストラップあげたときは俺がこれつけんの?なんて少し嫌な顔したくせにちゃっかり私と同じところに付けるところもかわいいと思う。
当たり前のように、今日はおかえりの言葉が聞けなかった。音もしなくて、誰もいないかと思った。
「 あおい、 」
リビングのドアを開ければ、そこにアオイの姿はなくて、奥に続くアオイの部屋から少しだけ音が聞こえたから、そこにいるんだろうと思った。
扉を開ければ、机に向かって鉛筆握ってるアオイがいて、ただひたすら文字を書き殴ってるようにもみえた。
「 …オムライス、いらない? 」
機嫌が悪いときにオムライスなんて、アオイがオムライスを嫌いになっちゃいそうでそんなことは言えないけどわたしはこわいのだ。
わたしは、アオイに見放されたらなんにもなくなってしまうって、いつもかんがえる。
「 食うよ、でも 」
鉛筆を置いた手が、くるりと体を向きを変え、わたしと向き合う。
まっすぐにわたしを見つめるアオイの目には、いつも吸い込まれそうで、悔しいくらい好きだ。
「 ほんとむかつく 」
苦虫を噛み潰したような顔、普段言葉にしない人なくせに、自分が抑えられそうにないときに、この人はわたしに全部ぶつけてくれる。
何を言わないより、ちゃんと言ってくれた方が、女の子は嬉しいんだよ。
「 うん、」
「 俺のいない所でフラフラして?俺が忙しいからって他の男にちょっかいされていいと思ってんの 」
「 いやあれはバイトの先輩で 」
「 年上だろ?お前は年上に好かれやすいんだからもう少し危機感持てよ 」
素敵な勘違いをしているアオイだけれど、自分が上になってるこの立場になる機会はそうそうないので、もう少し堪能させてもらおうと思う。