壁越しの舌
誰かに引っ張ってもらうとキツイ階段もあまりきつくなかった

階段は下からの風が強くて髪がわさわさと視界を邪魔した

〈ねぇ〉

そういうとモニーサンは食材を下に置いて自分の髪を結んでるゴムを外して私の髪を結んでくれた

「ありがとう」

〈うん〉

髪を下ろしたモニーサンは、思ったより髪が長くなくて、横顔にかかる髪が変に色っぽかった

「てん汰と蒼子ちゃんと話してるかな」

〈キャシーがいるから無理にでも話してるだろ〉

「あ…表札のおかげで私の部屋の前が明るく見える」

〈季節ごとに花、変えたらいいかもよ〉

「難しくない??」

〈言ってくれたら俺がするよ〉

「じゃぁお願いします」

〈はい〉

頼りなさそうで、でも凄く頼りになるのかなってふと感じた瞬間だった
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