壁越しの舌
『ピンポーン』

少し間の抜けた様なチャイムの音で起きた

あれからいつの間にかまた寝ていたみたいだった


ドアを少し開けると、疲れきった若者が何人もいた


『志乃(シノ)、何だよここ!!』

そう言ってきたのは大学の友達のてん汰。本名は忘れた

『エレベーターもないし、不気味だし。』

「引越したって聞いたから、引越し祝いをしようってみんなで話して。上がっていい??」


眼鏡の似合う友達、蒼子(ソウコ)も息をきらしながら言ってきた


チェーンを外し、ドアを開けるとゼミ仲間が何人も来ていた

てん汰は、『志乃サンお水』と言いながら入っていった

「まだ引越しの整理終わってなくて。」

そういうと蒼子は『じゃぁまだ早いからみんなで片づけよう。男子もいるからすぐ終わるよ』と言ってくれた

〈てん汰、雑巾とかなんやら買いに行くか〉

まだ部屋に上がらず、玄関にいたモニーサンが言った。本名は忘れた。モニーサンは不思議な人…いやこの人はただの変人の類いかもしれない。
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