【短童話】星のつくりかた
でもぼくたちは、悲しそうな彼女のようすに納得できませんでした。


「またつくることはできないのですか?」

そう、地球には星の材料の言葉があるはずなのです。


「地球は……もう手遅れになってしまいました」

彼女はうすいくちびるをかみしめました。


「もう星の光で照らせないくらい、暗やみが広がってしまったのです。知っていますか?光をつくる言葉があれば、暗やみをつくる言葉もあるのですよ」


ぼくたちは彼女につられて空を見上げました。

このうすぐらい空にもりゆうがあったのです。

ぼくたちの世界も、地球と同じように手遅れなのでしょうか。

ぼくはなんだか泣きそうになりました。



「戦争やはんざいはそんな言葉をいくらでも生み出しました」

静まり返った人びとの間で、彼女はぽつりとつぶやきました。

「でも、そのずいぶんと昔から、暗やみは広がってきていたのです。だれかをうらんだり傷つけたりいじめたりする言葉は、どこにでもありましたから…」


それは、きっとぼくたちの世界にも。


「わたしたちも、もうお星さまをつくることができないの?」


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