【短童話】星のつくりかた
正しいレシピ
町の物知りがつくったのりものに勇気のある青年がのって、“地球”に行きました。



1週間くらいたったでしょうか。青年が地球から帰ってきました。


「正しいレシピは見つかったのかい?」

町長が青年にたずねると、かれは背すじをピンとのばしてこくりとうなずきました。


「それで何が必要なんだ?金か銀か宝石か?」

町一番のお金持ちが顔を赤くして言いました。

「いいえ、そんなものはいりません」

「じゃあなんなんだ?」

「必要なものは……」

ぼくたちは青年を見て息をのみました。



「“言葉”です。おはよう、おやすみ、ありがとう、ごめんね……そういう言葉が星の材料です」


その青年の言ったことにだれもがくびをかしげました。

なぜなら、言葉は金のようにきらきらかがやいてはいないし、めに見えないものだったからです。



「お兄ちゃん、正しいレシピを持ってきてくれてありがとう」

そのとき、クマのぬいぐるみをだいた少女が青年にそう言いました。


「どういたしまして」

青年は優しくほほえみました。



するとどうでしょう。

暗くなりかけた空に、ふたつの星がキランとかがやきました。

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