【短童話】星のつくりかた
やってきた親子
暗い世界でぼくたちは、どうしたらいいか途方にくれました。


そんなある日のことでした。

町の木こりが、森でさまよっていたある親子をつれてきました。

上品なセーターとジーンズをはいた女の人と、桃のようなかわいいほっぺたをした小さな男の子でした。


「あなたたちはどこからきたのですか?」

うわさを聞きつけた住人のひとりが、親子に尋ねました。


「私たちは、地球からきました」

そう言って彼女が指をさしたさきには、ただ真っ黒な空があるだけでした。


「星のない世界から逃げてきたのです」


ぼくたちはその言葉にびっくりしました。

なぜなら地球に行った町一番の勇気がある男が、地球は美しく明るいところだったと言っていたからです。

それにぼくたちは、地球から正しいレシピを教わったのです。

「地球にはたくさんの星があるでしょう?」

またひとり、首をかしげた住人が彼女に尋ねました。


「それは、もう昔のはなしです」

空を見上げた彼女の目には、美しい地球のすがたが浮かんでいたのかもしれません。


「地球からは星が消えてしまいました。ひとつも残っていません」

なんということでしょう。

宝石箱のようだときいた、地球の夜空はぼくたちのあこがれだったのに。


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