俺様社長の溺愛宣言
「…で?どうしてそんなに離れてる?」

零士の言葉に、ドキリとする満里奈。

まぁ、言われても仕方ない。さっきはあんなに至近距離にいたのに、今はテーブルを挟み、尚且つ、テーブルから二歩離れた所に座っているのだから。

「…これが、最大限の場所です」
「…満里奈の傍にいるとは、そう言うことか?」

零士の言葉に、コクコクと頷く満里奈に、零士は溜め息をつく。

「…満里奈が男性恐怖症になった原因は?」

突然聞かれ、今までの生い立ちを簡潔に話す満里奈。

零士は黙ってそれを聞き、話し終わるとまた、零士は溜め息をついた。

「…満里奈」
「…はい」

「…それは、男性恐怖症とは言わない」
「…へ?」

「…ただ単に、男に対しての免疫がないだけだ。慣れればどうってことはない」
「…そうなんですか?」

零士の言葉に、目を丸くする満里奈に。

「…よって今日から、男に慣れるために、満里奈は、うちに来ること」

「…は、…ぇ?えぇっ?!!」

あからさまに驚く満里奈。

零士はスッと立ち上がると、満里奈の前にしゃがみこみ、ガシッと満里奈の手を握りしめた。

「…と、言うわけで、今から行くぞ」
「や、そんな無理ですよ!無理無理無理無理!」

「…10分以内に荷物をまとめろ」
「…無理ですよ!」

捕まれた手を更にぎゅっとされ、満里奈はビクッとなる。

「…俺の傍にいると言ったのはお前だぞ」
「…それとこれては話が」

「…違うとは言わせない」

…笑っているのに、目だけ笑ってない。

満里奈は口の端をひくつかせた。
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