俺様社長の溺愛宣言
「…お兄ちゃん、どうして御崎社長を追い出しちゃったの?」
慌てふためく事も、感情を思いっきりぶつけることも出来るけど、今は、自分の体に負担をかけるわけにもいかず、私は静かに一馬に問いかけた。
「…言っただろ?満里奈にあの男は相応しくない。満里奈の命を脅かす相手だ」
「…私はそんなに柔じゃないわ」
「…柔だよ。満里奈の体は、まるでガラスのようだ。ちょっと触るだけでも壊れてしまう」
「…」
…今の私の病状を、一馬はよく知っている。小林先生から聞いたのだろう。私の心臓が極限まで来ていることを。
「…満里奈、俺と一緒にアメリカに行こう」
「…アメリカに?」
「…アメリカに、心臓のオペが出来る名医がいるんだ。話す機会があって、満里奈の病状を話してみたら、彼ならオペが出来るって言ってくれたんだ。満里奈を死なせたくない。心臓を治して、結婚して、子供を生んで、当たり前の幸せな生活をお前にさせてやりたい」
「…お兄ちゃん」
…一馬は、アメリカに3年間行っていた。その間に、心臓に関する勉強と、数々のオペを経験してきている。その時に出会った恩師が、アメリカにいるとの事だ。
一馬は本当に生涯かけて、私を守ろうとしてくれている。
「…お兄ちゃん」
「…ん?」
「…私が産まれてきてからずっと今まで、大事にしてくれてありがとう」
「…満里奈」
「…私を、1人の女性として好きになってくれて、ありがとう」
「…」
私は、一馬の手を握りしめた。
「…でもね、私はお兄ちゃんは今までも、これからもずっと、『お兄ちゃん』なの。異性として見ることは出来ない。私は、アメリカには行かない」
「…満里奈?!」