First Love〜ベランダ越しの恋〜
彼の前に立ってみると、意外と背が高く少し威圧感を感じた。
「あの…なんの用かな?…」
「ここじゃ、ちょっと…。付いてきてもらっていいかな。」
私は言われるがままに、彼の後に付いていった。
付いた場所は体育館の裏だった。
「俺、A組の井上龍二っていうんだけど…知らないよね。」
「……ごめんなさい。顔は見た事あるけど、名前までは……」
「いや、いいんだ!知らなくて当然だし。」
見た目はすごくチャラそうだけど、話す感じは優しそう。
「…で、用って?」
「あ、うん。あのさ…。今付き合ってる人いる?」
「いないけど。」
「あの……いつも一緒にいるやつは?」
「優人の事?優人は彼女いるけど……」
「そうなんだ!実はさ。俺入学した時から羽美ちゃん可愛いなって思ってて。良かったら付き合って欲しいな。」
……………
えっ?
私、今、告白されてる?
今、私の事可愛いって言った?
人生初の告白に気が動転してしまった。
「あ…私…今」
好きな人がいるんです
そう、言いそうになった。もう、この気持ちは殺さなきゃいけないのに。
優人は里奈が好き。
里奈は優人が好き。
私の想いは2人に取って邪魔なんだ。
「………私で良かったら。」
気づいたら、こう返事をする自分がいた。
「マジ!やったぁ!ありがとう。これからよろしくね。」
喜んでいる彼を見て、少し嬉しくなった。
私はこの頃から、歯車がおかしくなっていった。
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