First Love〜ベランダ越しの恋〜
「良い噂聞かないって…例えば?」
「入学してから、5回は彼女変えてたな。見た目からして軽いじゃん。」
5回も…確かに、見た目は軽そうだけど話した感じは良さそうだったのに。でも、もうOKしちゃったし向こうから告白してきたんだから…大丈夫…だよね。
「…私、告白OKしたよ。」
「…マジ?」
「マジ。」
ちょっとは嫉妬するかなぁ。ちょっとは寂しいって思ってくれるかなぁ。
私は懲りもせず、無駄な想いを抱いている。早く消さなきゃいけないのに…
「ふぅ〜ん。でも、俺は辞めといたほうが良いと思うけどな。お前誰とも付き合った事ないんだから、騙されて捨てられんのがオチだぞ。」
「な……バカにしてんの?私が騙される訳ないじゃん。」
なんだか悲しい。
他に言い方ないの?心配してるなら心配してるって言って、心配じゃないならわざわざそんな事言いに来ないで…。
「じゃ、俺帰るわ。騙されないよう気を付けろよ。もし騙されたら俺に言え。ぶっ飛ばしてやっからよ!」
「……もうくんな。バカ……」
私はベランダを超えて部屋に入る優人の後ろ姿に、バレないように涙を流した。
最後の最後にズルい……
優人はアホでバカで私には憎まれ口で。
でも、なんだかんだ言って名前の通り、優しい人。
でも忘れなきゃ。
今は里奈の彼氏なんだから…
私は龍二くんからのメールに返信出来ないまま、眠ってしまった。
.