First Love〜ベランダ越しの恋〜




文化祭まで残り一週間を切り、みんな遅くまで残るようになった。


私は相変わらず学校では3人でいるが、下校は龍二くんと帰るようにしていた。


この日も龍二くんに送ってもらい、部屋で課題をやっていると、お隣さんがまたベランダを超えてやってきた。



「よっ!」


「よっ!じゃないよ。一応女の子の部屋なんだから、勝手に入ってこないでくれる?」


「だって窓開いてたから。てか、最近お前付き合い悪いぞ!そんなに、あの彼氏がそんなにいいのか?」


やめてよ。その話題……優人には関係ないでしょ?


「…うん。かなり優しいし。どっかの誰かさんと違ってね!」


かなり嫌みな言い方をしてしまった。でも、優人とはこんな話しをしたくない。

優人に聞かれるたびに、私の心が揺れてしまうから……


「なんだよそれ。まぁ俺は別に優しくないからよ。それより、明日は3人で帰るぞ!彼氏にも先約あるっつっとけ。」


「……別に学校で3人でいるんだから、帰りは一緒じゃなくていいじゃん。」


「いいから!もし先帰ったりしたら…お前のヘソクリの場所知ってるから、お前がいない時に全部使ってやるからな。」


「なっ!!あんたねぇ、それを世の中では泥棒って言うんだよ。てか、いつの間に人の部屋知り尽くしてんのよ!」


「ま!そういう事だからな。じゃあな。」


自分の要件だけ言ってかえるとか、どんだけ自分勝手…。


そんなの無視して、明日も龍二くんと帰らなきゃ。

じゃなきゃ、私はいつまでもこの想いを断ち切れない。

無視しなきゃ…

無視…しなきゃ…







頭では分かってる。

分かってるはずなのに…。



【明日は一緒に帰れない】



龍二くんにこんな文章のメールを送ってしまう、こんな弱い自分に腹が立つ。


一緒にいたって、惨めになるだけなのに……





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