以心伝心【完】
ここからの話は、俺が真に告白したときの話になる。
別に公開したいわけじゃない。
ハイ、
【以心伝心】
~相思相愛~
スタートです!
今から2年前。当時は大学4回生だった。
もちろん、みんなが知ってるとおり真とルームシェアをしていて就職活動に明け暮れていた。
簡単に決まるとナメきっていた俺は3回生の時から就活をしていたものの、前代未聞であろう見事に落ちに落ち続け、なんとか1社内定が決まったもののストレスと焦りでいっぱいだった。
真は早々に決まっていたし、馬鹿だと思っていたツレも苦戦していたけど決まりはじめていて、騒ぐ姿を見るだけでイライラしていた。
確かに自分には落ち度はしかない。ギリギリまで遊んで就活準備を怠っていた自分が悪い。わかってる。わかってるけど、イライラする気持ちは抑えられなかった。
今日も1社面接に行ったけど、特に興味があるところじゃない。だから合否はどうでもいい。
ほんと投げやりな自分にウンザリする。帰ったら真にまた怒られんだろう。
就職が決まってる真に怒られるのも腹立つんだけど、正論なだけに反論出来ない。それにあの関西弁で言い返されるとどうも退いてしまう。家までの足取りが1歩ずつ重くなる。
「あ、おかえり。もうすぐご飯出来るから着替えておいで」
「・・・うん」
なんか、変な感じがする。なんか、いつもと違う。なにかわからんが、変だ。
キッチンに立って夕食の準備をしていた真は笑ってはいないけど、口調はいつもより優しい。リビングのテーブルにはすでに何品か並べられていて、しかも、いつもより豪華に見える。
「意味わかんねぇ」
部屋に入って着替えながら理由をぐるぐる考えたけど、思い当たることは一切ない。なんか気持ち悪い、と思わず言ってしまいそうになるのを抑えて、夕飯の並んだテーブルに座った。
真が部屋着じゃないから俺も一応私服に着替えたけど、その時点からおかしいんだ。いつもは部屋着でうろついてるくせに今日に限って私服だなんて。しかもスカートなんてはいちゃって。
そういえば、あれ以来スカートをはく回数が減っていた気がする。今思い返せば、男と会うときはスカートだったんだろう。
その時は何も知らなかったからバイトでもないのに帰りも遅くて、よく心配したな、とか今更思ったり。
じゃあ、なんで今日スカートはいてんだ?もしかして、彼氏できた?じゃあこの料理はそれのお祝いか?
・・・冗談じゃねぇ。
そんなことになんで俺が付き合わなきゃいけないわけ?どんな理由であれ、なんか考え出したらイライラしてきた。
「出来たぁ!我ながら超素晴らしい出来栄え!」
嬉しそうに大きな声を出して、綺麗に盛りつけられた皿を持ってきた。エプロンを外しながらテーブルに向かう姿が色っぽい、じゃなくて。
何考えてんだ、俺。でも意外とスタイルいいんだよな。じゃなくて!!