鐘守りの少女と夢見る王子
「あなたは……マクベス王子様……」
少女の言葉にマクベスは目を見開く。
「なんで俺の名前を?」
マクベスが驚いているのを見て、少女は緊張が解けたのかくすくす笑った。
「最初にここにいらしたとき、そうお名前を呼ばれているのを聞いたんです。時々、ここにいらっしゃっていますよね」
そしてマクベスに向かってお辞儀をする。
「わたしはエリアルと申します。こうしてお目にかかれて光栄です」
「……ふぅん」
マクベスは膝をついたときに付着した汚れたを手で払い落とす。
よくここに来ていることに気づかれていたことがなんとなくおもしろくない。
マクベスがエリアルのほうを見ると、彼女は微笑みながら首をかしげた。
「お前は毎日、鐘を鳴らしているんだな」
「はい、それがわたしの仕事ですから」
すぐにそう答えたエリアルに、マクベスは眉を寄せる。