鐘守りの少女と夢見る王子
「なんで……」
「?」
「なんで、鐘を鳴らしてるんだ? お前は死ぬかもしれないのに」
エリアルははっとした表情を見せたあと、胸に手を当てて視線を落とす。
「わかってるんだろ? あの鐘に命を削られているって」
マクベスの言葉に、エリアルはひとつ息をついてから口を開いた。
「いいんです、わたしは……」
そして顔をあげる。
「皆のために鐘が鳴らせるのなら。わたしの力で、皆を、家族を幸せにできるなら」
意志の灯った強い眼差しにマクベスは少し怯んだが、すぐに言い返す。
「家族? 家族のためにやっているのか?」
こんな命がけのことを。
「お前は親に売られてきたくせに」
「……!」
なかなか言い返してこないエリアルの顔を見ると、彼女の瞳が潤んでいるのに気づいた。
はっとして言葉を探したが、マクベスが何か言うよりも先にエリアルが口を開いた。