鐘守りの少女と夢見る王子
「どうされたのですか王子様」
「うるせー、くそメガネ」
「もしかして今日も授業をナシにしようとしてます? ダメですよ、昨日サボったぶん今日はちゃんと進めなくては」
「うるさいって言ってるだろ」
翌日、授業時間に机に突っ伏していると案の定ロイドが絡んできた。
ロイドの小言を右から左に聞き流しながら、マクベスは窓の外に目をやって昨日のことを思い返す。
『親に売られてきたくせに』
『ひどいわ』
自分の言葉で、エリアルを泣かせてしまった。
彼女は家族のためにという想いを胸に、あの塔の中でひとり耐えてきたのだろう。
それなのにあんなことを言ってしまった。
塔へ通っていることがエリアルにばれていたのが恥ずかしくて、少しいじめてやりたかっただけだったのに。
あんな風に泣かせたかったわけではなかった。
昨日の自分がうらめしくてたまらない。