鐘守りの少女と夢見る王子
輝く世界
エリアルは白い塔の中で、黙って鐘を見上げていた。
もう正午はとっくに過ぎ、鐘も鳴らし終えたが、今日はマクベスの姿は見当たらなかった。
少し寂しい気もしたが、それで良かった。
昨日マクベスに言われた言葉が、胸に棘のように刺さって抜けず、彼の姿を見れば間違いなくまた心を乱される。
第一、マクベスにどんな顔をして会ったらいいのかわからない。
「……困ったわ」
エリアルの呟きが塔の中に響き渡る。
話し相手もいない塔の中で、エリアルは一人でこの気持ちを消化しなければならない。
励ましてくれる人もいなければ、諫めてくれる人もいない。
自分で自分を無理矢理奮い立たせなければ、今すぐにでも崩れ落ちてしまう。
(王子様には、家族のためと言ったけれど……)
エリアルが手元を弄りながら、ふと顔をあげたときだった。