鐘守りの少女と夢見る王子
エリアルが顔をあげたのを見て、マクベスがほっと息をつく。
「昨日、ひどいことを言ったから。そのお詫びがしたい」
エリアルは一瞬驚き、すぐに首を横に振った。
「……いりません」
「一緒に来て欲しいんだ」
断ったにもかかわらず、マクベスはエリアルの手を取ろうとする。
「いらないわ。それに、わたしはここから動けません」
そう言って手にかけられた鎖を見せるも、マクベスは動じない。
「そんなもの、外してしまえばいいだろ」
そう言って、彼はポケットから銀色に光る小さなものを取り出した。
「それは」
鍵。
もしかして、この鎖の?
エリアルが驚いているうちに、マクベスはエリアルの手にかけられた鎖を簡単に外してしまった。
手から鎖が落ち、エリアルは自由になる。
王宮に入ってから初めて彼女は鎖から解放され、なんとも言えない感覚に言葉を失っていると、マクベスに手を取られた。