鐘守りの少女と夢見る王子
ひとしきり泣いたあと、エリアルは涙を拭って立ち上がり、マクベスと向き合った。
「ごめんなさい王子様。わたし本当はわかっていたんです」
戸惑いながらエリアルを見るマクベスに、エリアルは寂しい笑顔を見せる。
「わたしはひとり。どんな理由があっても、結局は家族に捨てられたんだって。わたしがどんなに家族を想っても、想いは届かないって……」
「……」
また涙がこみあげてきて言葉に詰まったが、
マクベスは黙ってエリアルの言葉の続きを待ってくれている。
エリアルはこみあげる涙を抑えて顔をあげた。
「だけど……わたしはここで死ぬだけなの。どうせ死ぬなら、たとえ報われなくても大切な人たちを守るために命を尽くしたいのです」
そして、真っ直ぐにマクベスと目をあわせる。
「それが、力を持って生まれついたわたしの使命だと思うのです」