鐘守りの少女と夢見る王子
マクベスはエリアルを塔まで送ったあと、自室の窓際に座って落ちゆく夕陽を眺めていた。
エリアルの覚悟を聞いた。
なぜ彼女が命を削ってまで鐘を鳴らし続けるのかという、ずっと疑問に思っていた謎も解けた。
「使命……」
エリアルの言っていた言葉を思い出し、視線を落とす。
自分にはあれほど、強い意志を持ったことがあっただろうか。
自分のすべてを捧げるほど、強い何かを……
部屋のドアを誰かがノックする音がし、顔をあげた。
この時間に誰だと思いながら返事をすると、入ってきたのはロイドだった。
「王子様……」
ロイドは暗い顔をして、マクベスに歩み寄る。
「今日、鐘守りの少女を外へ連れ出しましたね」
ロイドの言葉にマクベスは目を見開き、ロイドを見上げる。
マクベスの反応にロイドはやれやれと首を振ってため息をついた。
「あなたが彼女を連れ出しているのを見た者がおり、それが王のお耳に入ってしまいました。もう塔へ行くことはできません」