鐘守りの少女と夢見る王子
「なんで!」
「あなたはしてはいけないことをしました。夢見ることを諦めた者に、夢の鱗片を見せてしまったのです」
「なんでそれがいけないんだ。おかしいよ!」
「あの子が逃げ出してしまったらどうするのですか? 鐘は誰が鳴らすのですか? あの子を自由にするということは、次の鐘守りが連れてこられることにもなるのですよ」
「……本気で言ってるのか」
マクベスはそう呟いたきり、床を見つめて黙り込んだ。
これ以上何を言っても、まわりの大人たちは聞く耳を持たないだろう。
この国の人々は、あの鐘に囚われているから。
黙り込んだマクベスに、ロイドは彼の肩を軽く叩いてから部屋を出て行った。
ドアの閉まる音を聞きながら、マクベスはぎゅっと拳を握り締める。