鐘守りの少女と夢見る王子



中にいたのは、マクベスよりも2つ3つ年下ほどの少女だった。

彼女は細い手首を鎖で繋がれ、青ざめた顔をしながらも必死に何かを祈るように指を組み、じっと動かないでいる。


「……」


そんな少女の姿に目を離すことができないでいると、やがて少女は祈りを止め、へなへなとその場に座り込んだ。

同時に鐘の音も止み、マクベスは少女が鐘を鳴らしていたのだということに気づいて愕然とする。


こんなに大きくて美しい鐘を、小さな彼女がひとりで鳴らしていただなんて……


初めて知った事実にただただ驚いていると、背後からむんずと誰かに襟首を掴まれた。


「うわあっ」


マクベスの声に、塔の中の少女が気づいて振り返る。

一瞬目が合ったが、次の瞬間には怒った顔のロイドが視界いっぱいに映った。


< 6 / 32 >

この作品をシェア

pagetop