鐘守りの少女と夢見る王子
マクベスは少女に出会ったあの日から、鐘に関する情報を集めてまわった。
直接人に聞いても、なぜか誰もが言葉を濁すので自分で書斎に通って調べることにした。
そんなマクベスの姿を見たロイド(最近おかしな形のメガネを気に入ってつけているので、マクベスはくそメガネと呼んでいる)は、
「やっと王子様がやる気に!」
と目を輝かせて喜んでいた。
真実はそうでないけれども面倒くさいので放っておくことにする。
そして一人で調べていくうちに、だんだん鐘の秘密を知っていった。
鐘は3百年前からこの国に存在し、その間ずっとその鐘の音で国を守っていること。
鐘は鳴らすには一定量の魔力が必要であること。
そして、術者にはとてつもない負担がかかり、命を落とす者もいるということ……
「……」
マクベスは黙って手にした文献を閉じる。
ここに書いてあることが本当であるなら、あの子は命を削って鐘を鳴らしているということだ。