悠久のシャングリラ


桜がもっと深く追求していく。


「そのもやって、どんな感じだったの?
あの化け物と何が違うって言うのさ」


藤が顎に手を当てながら答えた。


「んー。 俺が見た感じだと、
そのもやは、人型に見えたんだ」

「人に……?」

「ああ。 黒い炎が急に小さくなり、
一瞬だが少し歳のいった男になって……」

「……少し歳のいった……男……?」


ますます意味がわからないと言いたげに、
桜は眉根を寄せ、腕を組む。


「化け物とは違ったな。
……どこが、と問われると難しいが……」


「まぁ、俺の感だがな」と、
藤は苦笑いを見せた。


「……ねぇ。 それより、部屋を出ましょう。
ここにいたら、睡蓮の邪魔になるわ……」


後ろに控えていた桔梗が、
抑揚なく口にする。

私たちも桔梗に同意し、
一度部屋から出ることになった。

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