悠久のシャングリラ


「久しぶりだね」

「クイナ!」


私は思わず
ソファーから立ち上がっていた。

猫のお面をした謎の人物ーークイナ。

この人は前にも私たちの前に現れ、
ステンドグラスや館のことを教えてくれた。

なにか重要なことを知っている気がする。

もしかしたら、睡蓮を助ける方法を
知っているのかもしれない。

そう思い立ち、
微笑んだまま動かない
クイナのもとへ駆け寄った。


「お願いします! クイナ!」


彼の肩に手を置き、大きく揺さぶる。


「睡蓮が眠ったままなんです!
どうにかして、
起こす方法はありませんか!?」

「起こす方法……か。
こればかりは、彼の体力次第だよ」

「……そ、そうなんですか?」

「うん、そうだよ」


期待していただけに、
落胆も激しく肩を落とした。

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