悠久のシャングリラ
「わたしは、きみたちの物語に興味がある。
だから……ここで立ち止まられては困るんだ」
「……それで、
わざわざ欠片を届けたっていうの?」
「そうさ」
みんながそれぞれ顔を見合わせる。
彼の意図が見えなかったから。
「これで、
残りの欠片はあと……二つだ」
「……二つ……?」
その数だけの欠片を見つけられれば、
私たちはこの館から出られる。
自由になれる。
現実味を帯びてきた出口に、
みんなの高揚感が高まっていく。
「マ、マジか!
それが本当なら、出口が見えてきたな!」
「ああ! もうすぐで、
この館から出られるぞ!」
はしゃぐ鈴蘭と藤とは対照的に、
桜と鳳仙は口を閉ざし考え込んでいる。