悠久のシャングリラ
「……っ! ……蓮!」
水の向こう側から聞こえるような
ぼやけた声が、ボクの脳を揺らす。
(誰……? ボクを呼ぶのは……誰……?)
手に、その誰かの温もりを感じた。
温かくて安心できて……。
刹那、ボクに向かって
一筋の光が降り注いできた。
そこから、自分の足があることがわかる。
次に胴体、腕、首があって頭がある。
はっきりと、自分の姿が浮かび上がった。
(ああ、そうだ……。 そうだった……)
戻らないといけないんだった。
みんながーー百合が待つ場所へ。
ボクはずっと、その場所へ行くことに……
「……百合……」
恋焦がれていたんだからーー。