悠久のシャングリラ
**
持ってきた水を机に置いていたとき、
ほんの僅かに睡蓮の手が動いた。
私は目覚めたのかと思い、
必死に彼の名前を呼び続けた。
そしてーー。
「………ん……んん………」
「睡蓮っ!」
やっと目が覚めた。
まだ焦点の合わない瞳が、私を捉える。
握りしめていた睡蓮の手に、
ぎゅっと力を込めた。
「睡蓮……。
私が誰だか、わかりますか……?」
起きたばかりの睡蓮を驚かせないように、
静かに口を開いた。
睡蓮は、こくりと頷く。