悠久のシャングリラ


「! ……よかった……!」


安堵から涙が目尻に溜まって、
睡蓮の姿がぼやけてしまう。

それを必死に押しとどめながら、
私は立ち上がった。


「睡蓮、待っていてください。
今、みなさんを呼んできますので!」


睡蓮の手を離そうとすると、
逆に力を込められ引き寄せられた。

いきなりのことに
驚いた私は体勢を崩し……。


「!」


そのままベッドへと倒れ込んでしまった。


「…ははっ。 こんなこと、前もあったね。
今度は……、ボクが押し倒す側だけど」


力のない声で笑って、目を細める睡蓮。

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