悠久のシャングリラ


「……も、もう体調は大丈夫なんですか?」

「ああ。 だいぶ、楽にはなったかな。
……心配してくれてたの……?」

「当たり前です!」


睡蓮は目を大きく見開け、
「ありがとう」と消え入りそうな声で言った。


「あの……えっと……」


話題がなくなってしまい、
静けさの戻った部屋。

意識していなかったけれど、
睡蓮と顔が近いことに今更ながら気がつく。


「……す、睡蓮……。
少し……その、離れませんか……?」


たどたどしく言葉を繋いでも、
睡蓮は「ダメ」と意地悪く笑っている。

けれど突然、
左腕を押さえて苦しそうにうずくまった。

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