悠久のシャングリラ
第四章 心に浮かんだ恋模様
水面に水が落ちるように波紋が広がり、
景色が緩やかに変わっていく……。
『明日、川に遊びに行こうぜ!』
『えー、面倒』
『おい!
決めた側から拒否るなよ!』
『だって面倒だし』
そう……
この二人はいつも言い争いをしていた。
熱血タイプとクールタイプ。
そんな対照的な二人だけど、
だからこそ似てもいた。
彼らの名前は、誠斗(まさと)と亜紀(あき)。
誠斗は、鈴蘭。
亜紀は、鳳仙。
記憶を無くしてからも、
性格はちっとも変わっていない。
その裏表のない明るさと冷静さが、
幼いながらも私は好きだった。