悠久のシャングリラ
『私はいいと思う!
今日は暑いし、きっと気持ちいいよ!』
『咲夢梨が、そう言うなら……』
(欠片の見せる夢……? ううん、違う。
これは、私のなくした【過去】ーー)
今までは、
ぼんやりとしたイメージしかなかった。
見せられたものが自分の過去と言われても
あまりピンとくることはなかったのに。
どうしてか、この夢(かこ)だけは、
【私の記憶】だと直感が告げていた。
『ボク読みかけの本を終わらせたいし……
明日はパス』
『奈琉もチャンバラで忙しいぞ!』
奈琉(なる)……、見た瞬間わかった。
髪や目の色、あんなにそっくりなんだから、
きっと分からない方がおかしい。
あの子は、藤だ。