悠久のシャングリラ
『僕は咲夢梨に従うよっ。
君と一緒なら退屈はしないだろうしね』
その隣に立つのは、
背が小さいのを気にしていた桜。
いや……、圭介(けいすけ)だろう。
『うん! 退屈なんてきっとしないよ!
ね、だからみんなで一緒に行こう?』
そして、咲夢梨と呼ばれた女の子……。
あれはーーー幼い頃の私だ。
『ねぇ。 行こうよ、隼人。
本なら川の近くでも読めるよ?』
『そんなに行きたいの?』
『もちろん!』と答える幼い私に対して、
隼人(はやと)と呼ばれた男の子が腰を上げた。
あの子も変わっていない。
胸に広がる懐かしさに、目を細めた。
本好きの隼人は、睡蓮の幼い頃の姿だ。