悠久のシャングリラ


『何書いてるの?』

『あ、瑠璃! ねえねえ、
物語で読みたい話ってどんなの?』

『いきなりどうしたのよ……』

『いいから、いいから!』

『はぁ……そうね……。
あたしは、戦う物語が読んでみたいわ』

『戦う……?
剣とか持って、「やぁ!」って?』

『そうよ。
でもただそれだけじゃ面白くないから……』

『面白くないから?』

『ファンタジーみたいに、
武器を召喚するのがいいわ!』


現実にはありえない、
想像の世界でしかない本の中。

でもだからこそ、
こんなものがあるのでは、と胸踊る。

瑠璃は周りには隠しているけど、
大のマンガ好き。

とくに、この世ではありえない、
空想の世界がとても好きみたいだった。

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