悠久のシャングリラ
……空気が柔らかくなっている。
みんな言葉には出さないけれど、
睡蓮が無事で安心しているのだ。
もちろん、私を含めて。
頭を叩かれたのが気に食わなかったのか、
勢いよくソファーから立ち上がった。
「! あれはわざとやってたんだよ。
……オマエたちが信用出来なかったから!」
「ああ! お前って言った!
可愛げなかったのが、更になくなった!」
イーッと歯を向けていがみ合う二人の間に、
私は慌てて仲裁に入った。
「お、落ち着いてください! 睡蓮、桜。
せっかく互いに友達だとわかったんですし」
「百合……」
「睡蓮。 腕の調子はどうですか?
まだ……痛みますか……?」
服の上から、睡蓮の腕をそっと撫でる。