悠久のシャングリラ


「? 百合……?」


下から覗き込まれそうになったとき、
後ろから誰かが私の肩を抱いて、
引き寄せられた。


「はい、百合はおれと一緒。
睡蓮。 あんたは桔梗と同じ一階だよ」

「……鳳仙……」

「………」


ニコニコと笑っているのに、
目だけは笑っていない鳳仙。


「………」


無表情の中に冷たさを感じる睡蓮。


「……あ、あの……?」


私を真ん中に挟んで、
後ろに鳳仙、前に睡蓮が佇んでいた。

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